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T's STUDIO:コラム

T's STUDIO

今回は、トライ・ワークスの代表取締役であり、現在15人制及び7人制ラグビー日本代表トレーナーを勤める木村通宏トレーナーに7人制ラグビー代表の帯同についてお話を聞きました。

1:セブンズ日本代表トレーナーの活動を始めてどのくらい経ちますか?

2004年9月にスリランカで行われた2005年セブンズワールドカップ・アジア地区予選に帯同して以来、セブンズ代表に関わっていますので、約3年間です。

2:海外遠征が多いセブンズですが、今日までにどちらの国へ遠征に行きましたか?

毎年3月末に開催される香港セブンズは、今年で4回目の帯同となりました。その他、2004年に初めて帯同したスリランカ以来、オーストラリアのダーウィン、アデレード、ニュージーランドのウェリントン、スペイン、シンガポール、ケニアなどへ遠征に行きました。

3:海外遠征では多くの荷物が必要になると思いますが、実際に何を必ず持っていきますか?

T's STUDIO写真 テーピング類、アイシング関係のビニール袋やラップ、創傷処置関係の薬品、衛生材料などの消耗品とそれらが収められたトレーナーキット。ドリンクボトル、ウォータージャグ、クーラーボックス、ボトルキャリーなどの水周り関係品。その他、折りたたみのベッド、ストレッチポール、松葉杖、などを持って行きます。
テーピング類は選手のテーピング状況を事前に調べ、大よその本数を予測して持って行きます。 スプレー缶類は、可燃性のLPGガス使用のものはたいてい出国時や入国時の税関でひっかかるので旅行会社を通じて書類を作成し、予め届け出ます。
電気式のホットパックは、電圧の関係で重い変圧器を持っていかなければならないので、代用として大人用のおむつにお湯をかけてタオルで包んで使用するなど、荷物の重量をなるべく減らすように工夫しています。
スポーツドリンクのパウダーや、試合時のリカバリーフードとしてエネルギーゼリーは必要最小限携行しますが、長期の遠征ではかなりの量になりますので、遠征先の国で購入出来そうな場合は現地調達をするか、それに代わる食品で補います。代表チームの遠征といっても特別扱いされることはなく、 T's STUDIO写真「搭乗人数×20キロ」でオーバーした重量をそのまま超過料金を請求されることもあります。1回の遠征で100万円以上請求されたこともあり、いつも出国時に総務の方がチケットカウンターで航空会社と交渉します。日本代表に限らず、他国のセブンズ代表チームも同じ問題を抱えていると聞きます。
海外を転戦する時は、「どうしても現地で調達出来ない物品」と「無くても何とかなる物品」を判断し、必要最小限にまとめるのがセブンズの荷物です。例えば、遠征先が香港の場合は、日本製の食品も含めて現地のスーパーで何でも手に入りますので問題ありませんが、ケニアやスリランカの場合は、どうしてもいつもより多めの荷物になってしまいます。
スリランカの遠征先で、病院の内科にて選手が受診した際、処方された薬が、わら半紙に包まれたむき出しの錠剤だった事がありました。その一件以来、「ドクターの指示の下で使用する」という決まりで処方箋薬を携行するようになりました。携行する処方薬としては、総合感冒薬、整腸剤、消炎鎮痛薬、抗生物質、湿布類などの内服薬・外用薬があり、いずれも使用時にはドクターに連絡を取り、確認を行います。ちなみに、現時点でセブンズの遠征にチームドクターの帯同はありませんが、将来的にはセブンズ遠征にもドクターが帯同することが望ましいです。

4:宿泊ホテルではトレーナールームはどのようにセットしていますか?

T's STUDIO写真 遠征先のホテルにより、状況が異なりますが、予め部屋数に大会で規定がある場合は、大きめの部屋をチームの中で手配していただき、自分の宿泊部屋兼トレーナールームとして使用します。自分のベッド以外に折りたたみベッドを1台並べられるスペースがあれば十分です。そのスペースで選手のケア、テーピングを行います。長期の遠征で治安上外出することが危険な国では、選手の憩いの場ともなりますので、日本の雑誌を何冊か購入して並べ、DVDをセットしてセブンズの試合の映像を流し、選手のストレスを軽減するように努めています。スペースに余裕があれば、ストレッチボードやストレッチポールを床に並べ、選手自身でストレッチができるようにセッティングします。
国内合宿では、ビジネスホテルに宿泊することが多く、大きい部屋が手配できないので、その場合はツインの部屋を手配していただき、ベッドを1台取り除いて専用のトレーナールームとします。また、練習時には、選手に荷物を分担して運んでもらうために、選手と同じフロアでエレベーターに近い部屋を予めリクエストしておきます。

5:海外遠征では食事や水に気を遣うことが多いと思いますが、具体的にどのようなことに気をつけていますか?

T's STUDIO写真 激しい練習による脱水症状、熱帯の国では熱中症などに細心の注意を払い、選手が自由に飲める飲料用のミネラルウォーターは現地で十分な量を購入し、グラウンドだけでなくトレーナールームにも常備します。
日本と異なり、水道水が飲料不可の国が多くあり、その中でも衛生環境が特によくない国では、ボトルの洗浄もミネラルウォーターで行います。部屋での歯磨きや口をゆすぐ水だけにとどまらず、レストランで飲食時の水もミネラルウォーターにします。せっかくミネラルウォーターを用意しても、水道水を凍らせた氷が入っているコップにそれを注いでは何もなりませんから、氷は直接グラスに入れないようにします。
練習中の水分補給は海外では全てミネラルウォーター、そして、ペットボトル自体を直接クーラーボックスの氷に入れて冷やし、ボトルの中に氷は入れないようにします。スポーツドリンクも予めミネラルウォーターで作っておき、それをペットボトルに移し変え、クーラーボックスで冷やして対応しています。

6:海外でのEmergency Plan(緊急時対応)はどのようになさっていますか?

T's STUDIO写真 大会運営本部(ホテルや試合会場)に常駐の医師や看護師がいて、緊急対応の病院が決まっています。予め総務を通じて、大会マニュアルを確認し、緊急時の対応について確認しておきます。大会期間中は救急車がスタジアムに常に待機しています。状況に応じて、トレーナーが病院へ帯同し、怪我の状況を医師に説明して診察を受けます。また、大きな大会であれば1チームに1人、現地人のリエゾン(世話役)が付くので、現地の状況を良く把握しているリエゾンからの情報で(共通語は英語です)、臨機応変に病院を選ぶこともあれば、現地の日本人会から情報を集め、信頼できる医師・病院を紹介していただく事もあります。


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