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T's STUDIO:インタビュー

インタビュー

写真 ■経歴
1981年生まれ
2005年Eastern Michigan University(College Health & Human Services, Athletic Training Major卒業
2008年〜2010年拓殖大学ラグビー部ヘッドアスレティック・トレーナー
2011年よりNECラグビー部アスレティック・トレーナー
■資格
NATA-ATC, NASM-PES, Life Supporting First Aid インストラクター
■トレーナー経歴
トライ・ワークス所属アスレティック・トレーナー
NECラグビー部アスレティック・トレーナー


今回は、NECラグビー部アスレティック・トレーナーの宮崎俊太郎トレーナーにお話を聞きました。

アスレティック・トレーナーになったきっかけを教えてください。
私は高校時代、バスケットボール部に所属していましたが、よく足関節の捻挫をしていました。OBの方がコーチをして下さっていましたが、その方は柔道整復師の専門学校に通われていて、怪我をした際に基本的な処置やリハビリ、テーピングなどを教えてくれました。高校卒業後の進路を考える際に将来はスポーツに関わる仕事がしたいと考えていたのですが、バスケットボール部時代の経験から直接、選手をサポートする仕事をしたいと明確に考えるようになりました。それから、そのような仕事をするためにはどのような職業があるかということを自分なりに調べた結果、「アスレティック・トレーナー」という職業に辿り着き、ATCの取得を目指すためにアメリカの大学へ留学をする道を選択しました。
学生トレーナー時代の思い出は何ですか?どのような活動をしていましたか?
写真 英語という言葉の壁があることで他の学生に負けないように夜遅くまで勉強をし、テーピングや傷害評価などのテクニックも人より多く練習することは大変でしたが、今振り返るとそれらの経験も非常にいい思い出となっています。
シニア(4年)の年にアメリカンフットボールの担当をしていましたが、敵地で試合がある際の遠征帯同も思い出に残っています。1つの試合のために選手・スタッフを合わせて120名近い人間が移動し、それぞれが各々の役割を果たす中で学生ではありましたがアスレティック・トレーナーとして活動できたことは非常にいい経験でした。また、思い出深い試合としてある遠征で約3万5千人の観客が入ったスタジアムのサイドラインに立つ機会がありました。どのような試合でもアスレティック・トレーナーが果たすべき役割や行う仕事というのは変わりませんが、あの時は鳥肌が立ち、非常にワクワクしたことを今でも覚えています。アメリカンフットボールはアメリカで最も人気のあるスポーツの1つですが、スポーツが文化として根付いていることを肌で感じることができた瞬間でもありました。
学生時代の最後にはAFL(Arena Football League)のチームでシーズンインターンとして活動する機会を得ました。留学当初から目標だったプロスポーツチームで働くという念願が叶ったことだけでなく、学生スポーツと違った環境で活動をできたことは貴重な経験となりました。また、シーズン終了後にチーム全体での食事会がありましたが、学生で半人前であったにも関わらず、シーズンを通して働いたことへの評価に加え、選手は私が無報酬で働いていたことを知っており、食事をご馳走してくれ、ささやかなプレゼントをくれたことが非常に嬉しかったことを覚えています。
以前大学ラグビーのアスレティック・トレーナーとして活動されていましたが、社会人ラグビーとの違いは何でしょうか?アスレティック・トレーナーとしてその違いにどのような対応をしていますか?
写真 大学ラグビーの場合、高校ではアスレティック・トレーナーやストレングス&コンディショニングコーチがいなかったことから大学に入るまで全く身体のケアをしたことがない選手もいます。また、大学ラグビーをする選手は大きな括りで考えると発展途上の段階に当たるかと思いますが、“教育”や“育成”ということも念頭に置きながら基礎的なことを教えること、伝えることを意識して活動をしていました。
社会人ラグビーではプレーをする選手の年齢にも幅がありますが、スポーツ選手としては成熟していく、または成熟した段階であるかと思います。そのため、各々の選手が身体のケアに対してもそれぞれの考え方を持っている場合があります。それらのことを考慮しながらも、いい身体の状態で練習や試合に臨むという目標は選手、アスレティック・トレーナー共に変わらないため、自らの知識やスキル、経験などを重ね合わせて何がその選手に対してベストかということを常に考えながら対応することを心掛けています。
アスレティック・トレーナーとして日々どのようなことを心がけていますか?
写真 アメリカで学生トレーナーをしていた時に、大学のスタッフトレーナーの1人から「アスレティック・トレーナーとして最も大事なことは知識やスキルではなく、コミュニケーション能力である」ということを学びました。私もその言葉通り、コミュニケーションを最も重要なことの1つと考え、日々、活動することを心掛けています。選手とのコミュニケーションに関しては伝えたいことを一方的に伝えるだけではなく、選手自身の話を聞くこと、選手の身体を色々な視点で見ること、選手の身体に触れて状態を感じることなどもコミュニケーションの一部と考え、様々な方法を用いて日々の変化を捉えながら出来る限り多くの情報を収集するようにしています。また、現在、所属しているチームには多くのスタッフがいますが、ミーティングで現状を報告するだけではなく、スタッフ全員ができる限り選手の状態に関して同じ情報を共有できるように普段からなるべく多く会話をするように心掛けています。アシスタントトレーナーとしてヘッドトレーナーとコミュニケーションを取ることに加え、ウエイトトレーニングを見て頂くストレングス&コンディショニングコーチ、グランドへ戻る際の移行期におけるトレーニングを見て頂くコンディショニングコーチとは日常的に話をすることにより、お互いにフィードバックをしながら選手の競技復帰が円滑に進むようにしています。
ラグビーというコリジョンスポーツでは数多くの傷害が生じますが、傷害発生時の評価や対応など気をつけていることはありますか?
写真 ラグビーでは他のスポーツと比較して重度の外傷性傷害が発生する頻度が高いと思いますが、評価をする際には想定される重症度の高い傷害から除外することに気を付けています。その中でも頭頚部の傷害については生死に関わったり、後遺症が残ることも考えられるので、出来る限り正確な評価をするように心掛けています。ただし、On-Fieldでアスレティック・トレーナーが出来る評価は限られているということを認識し、それ以上のことに関してはドクターの判断を仰ぐ、または医療機関にて検査を受けるようにしています。また、ラグビーの現場で起こり得る最悪のケースを想定し、AEDの使用法や心肺蘇生法、スパインボードの使用法などを定期的に確認するようにしています。
ラグビーでは競技の特性上、軽度の傷害から手術が必要とされる重度の傷害、または慢性的な傷害から急性的な傷害まで様々なことが起こります。そのような環境に身を置いているアスレティック・トレーナーとして、傷害の対応に気を付けていることは“選手の身体を機能的に見る”ということです。私は怪我をした状態から競技復帰への橋渡しをすることはアスレティック・トレーナーの大きな仕事の1つであると考えています。アスレティック・トレーナーは発生した怪我の診断や手術を行うことはできませんが、選手を可能な限り早く、安全に競技に戻すという観点から、傷害部位だけを見るのではなく、ラグビーに必要な身体機能を持ち合わせているかどうかということを判断していくことは非常に重要なことだと考えています。